極甘求婚~クールな社長に愛されすぎて~
「ケーブルカーは乗れそうか?」
どちらかを使わなければならないなら、リフトよりはマシ。
いざとなれば目を閉じればいいし。
「ダメだ」
私の考えを読んでいた紬が嗜めるように言う。
「目を閉じたら、と考えただろうが、それでは意味がない。目的は高所恐怖症の克服。ケーブルカーからの景色も綺麗だから、どうしても無理でない限り乗って行こう。大丈夫。万が一途中で怖くなっても俺が側にいるから」
「な…っ!?」
『側にいる』なんて台詞を吐きながら真っ直ぐ見つめてくるのは恋人にする類のものでしょ?!
違うって分かってても心拍数が一気に上がってしまったじゃないか。
本当は地図上の先にあった吊り橋についてもひと言物申したかったのに、動揺して、なにも言う気が起きなくなってしまった。
楽しみにしていたとろろ蕎麦も紬を意識してしまって、掻っ込むようにして食べたため、ろくに味わえなかった。
「なにしてるんだ、私は」
食事を終え、お会計の順番を待つ間に、紬の言動に動揺してしまう自分を猛烈に反省する。
紬はただ私を安心させるために言ってくれただけなのに、ドキドキしてしまうなんて。
彼は仕事の関係者だからときめいちゃダメなのに。