極甘求婚~クールな社長に愛されすぎて~
それとも恋人がいないと知ったから、彼を意識し始めてる?


「いや。ない。それはない。あり得ない」


でも仮に、あくまで仮だけど紬をひとりの男性として意識しているとしよう。

そうなるとどうなる?

せっかく仕事で認められて、再来月の役員会で大きな任務まで任されているのに、意識して、彼のことばかり考えて、仕事が疎かになるんじゃない?

さらに気持ちがどこかでバレたら?

彼を困らせて仕事がやりにくくなる。
つまり百害あって一利なし。

彼の力になりたい。
その想いの方がはるかに大事なんだから。


「大丈夫か?」
「大丈夫です…ってなにが?」


突然声を掛けられて、話の前後が見えずタメ口になってしまった。


「すみません。なんでしょうか」


謝ってから言い直すと紬は眉間にシワを寄せた。


「さっきからなんかボソボソ言って難しい顔してるからこれから登ることが不安なのかと思ったんだが、その様子だと違いそうだな」


紬はそう言うと、私の表情から今度は手元に視線を落とした。


「それ、仕舞え。女に払わせるような教育は受けてない」
「いえ、ここは私に支払わせてください。服とは比べものになりませんが、服のお礼に」


それでも自身の財布を出そうとする紬に少し大きめの声で言う。


「仕事の関係者に男も女もありませんから」

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