極甘求婚~クールな社長に愛されすぎて~
せっかく紬が連れて来てくれたんだ。

胸が苦しいのは別の理由だし、ここまで歩いて来たからには頂上を目指したい。


「ただ、もう少し待ってください。恐怖心が和らぐまで」


深呼吸を繰り返し、気持ちを鎮めれば大丈夫。

ここはトラウマになった場所じゃないし、背中を押して橋の下に落とすような男子もいない。
そばにいてくれるのは私を心配そうに見つめ側にいてくれると約束してくれた紬だけ。

そう。

紬のことだけ考えよう。
それだけを考えていればきっと大丈夫。


「よし」


紬をひと目見て、それから掌を握り、足に力を込める。

でも…


「うっ…」


どうして…
どうして立てないの?
なんで克服出来ないの?


「悔しい」


もう一度力を。
そう思って足にグッと力を込めて立ち上がろうとした次の瞬間、体がフワリと浮いた。


「社長!?なにしてるんですか?!重いですから下ろしてくださいっ!」
「きみの頑張りを目にして何もせずにはいられない。案の定こんなに震えているじゃないか。目に涙まで溜めて…」


私を片手で器用に抱えた紬は空いた方の手で私の目元を拭った。
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