リト・ノート
せめて沙織にリトの話をしたほうがいいかもしれない。沙織とも手をつなげば聞こえるだろうか。

考え始めて黙ってしまった美雨に、何を思ったか羽鳥が問いかけてきた。

「お前さ、好きなやつとかいるの」

「え、なんで?」

「俺と仲良いと思われたくないやついるのかなって」

「いないよ、そんなの」

怒ったような口調になった。みんながすぐに誰が誰を好きって言うのはなんなのかと頭に来る。

「もしかして山根くんのこと? 別に好きじゃないし。なんでちょっと話したぐらいですぐ好きとか決めるの?」

「そんなこと言ってないけど。なに怒ってんだよ」

「山根くんとはどうなってるのとか、真尋ちゃんに聞かれたの。それにこないだノート貸しただけで、羽鳥のこと好きなのとか!」

言いながら顔が赤くなっていくのがわかった。思い出しているうちにだんだん勢いづいて来る。

「沙織だったら言われないでしょ。私が男子と話してるなんて変なんだよね? 好きだから無理してるみたいに見えるんだよね?」
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