ワケあって本日より、住み込みで花嫁修業することになりました。

しどろもどろになりながらも必死に伝えていく。すると部長は目を細めた。

「そう、でしたか……。それで最近、ここでお昼を食べていられなかったんですね」

納得したように頷く部長に頷くと、彼は手にしていた新聞を折りたたんだ。

「桐ケ谷さんは僕に迷惑をかけると思って、急にいらっしゃらなくなったんですね」

確認するように問われた質問。……これには頷くことはできない。だって違うから。

「いいえ、違います」

「……えっ？」

驚く部長に自分の本音を打ち明けた。


「私……怖かったんです。また昔のように悪口言われて仲間外れにされるのが。だったら最初からひとりでいた方がいい。そうすれば傷つくこともないから。本当は部長と料理の話をしたりして過ごす昼休みが、待ち遠しほど楽しみだったのに」

「桐ケ谷さん……」

それなのに理由つけて逃げた。傷つきたくなかったから。

「すみませんでした」

最後に謝罪の言葉を繰り返すと、少しして部長は口を開いた。

「謝ってくださったのは、これからも僕と料理友達としてお話してくれるって思ってもいいのかな？」

「……え」