ワケあって本日より、住み込みで花嫁修業することになりました。
「一番下っ端のくせに、生意気だよね。愛想よくしろっつーの！」

声を上げて笑い出した先輩たちに、拳をギュッと握りしめてしまう。

この前とは言っていることが違う。結局先輩たちは、誰かを悪く言いたいだけなのかもしれない。

なにか理由つけて日頃のストレスを発散するように、誰かを標的にして悪く言いたいんだ。


そう思うと気にして部長を避けたり、声をかけてくれた綾瀬さんに冷たい態度を取っていた自分がバカらしく思えた。

私がなにをしたって言われるなら、気にしなければよかったんだ。周囲の目なんて気にしないで、自分が思うがまま行動すれば。

なのに気にして臆病になっていた自分が、情けない。

「下っ端は愛想よくしてなんぼだよね。大して仕事もできないくせに」

「それで自分はできると思っているんじゃない？　あぁいうタイプの子って」

「言えてるー」

再び大笑いする先輩たちに、悔しさがこみ上げたその時だった。
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