ワケあって本日より、住み込みで花嫁修業することになりました。
キョトンとする私におじいちゃんは、驚いた様子で首を傾げた。

「なんだ、聞いておらんのか? てっきりすみれは知っているものだとばかり……。まぁ、よい。まずは食べよう。せっかく作ったのに冷めたらまずくなる」

「う、うん……」

箸を渡され、「いただきます」と手を合わせ先に食べ始めたおじいちゃん。


さっきのことが気になって仕方ないけど、聞くタイミングをすっかり失ってしまい、私もまたおじいちゃんの作った美味しい料理を食べ進めるものの……。


本当に一体誰が来るんだろう。もしかして叔父さんとか? 誕生日プレゼントは毎年貰っているけど、伯父さんいつも「せっかくの家族水入らずを邪魔しちゃ悪いから」って言って、誕生日前か後にプレゼントを渡しに来てくれていたんだよね。


それにこれまで毎年私の誕生日は、おじいちゃんとふたりっきりだった。それなのにどうして今年は誰かを招待したりしたんだろう。

けれどそれも来ればわかる。――なのにその相手は一向に来る気配がなく、おじいちゃんが作ってくれた料理で私のお腹は既にパンパン。
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