ワケあって本日より、住み込みで花嫁修業することになりました。
「うん、全然大丈夫だよ」

来たときとは違い、緊張もなくなりおばさまと料理の話で盛り上がっていたし。

それに仕事の話なら、尚更ここでするわけにはいかないだろうから。

笑顔で言うと謙信くんは安心したように肩を落とした。

「わかったよ。父さん、書斎でいい?」

「あぁ、悪いな。すみれちゃんもごめんな」

「いいえ、お気になさらず!」

おじさまにまで気遣われ、恐縮してしまう。


「そうよ、ふたりとも男同士でゆっくり仕事の話でもしてきてちょうだい。私とすみれちゃんは女同士、楽しくおしゃべりしているから」

おばさまがそう言うと謙信くんとおじさまは、「すぐ戻る」と言いリビングから出ていった。

「さて、ふたりっきりになれたしすみれちゃん、謙信の小さい頃の写真見たくない?」

「みっ……見たいです!」

おばさまからのまさかの提案に興奮し、声を弾ませてしまう。

「待ってて、持ってくるから」

にこやかに立ち上がると、おばさまはアルバムを取りにリビングから出ていった。
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