ワケあって本日より、住み込みで花嫁修業することになりました。
どういう意味? 知りたくておばさまをジッと見つめてしまう。

するとおばさまは眉を寄せた。

「あらやだ。……もしかして謙信から聞いていなかった?」

肯定するように頷くと、おばさまは「やっちゃった」と言うように額に手を当てた。

「あのっ……! どういうことですか? 施設からうちにきたって……」

おばさまには申し訳ないけれど、聞いてしまったからには気になる。

もしかして謙信くんは、ふたりの子供じゃないの?

真実が知りたくて答えを待つ。するとおばさまは小さく息を漏らした後、私を見据えた。

「いつか謙信から話を聞いた時は、初めて聞いたように振る舞ってね?」

「はい!」

勢いよく返事をすると、おばさまは話してくれた。

「私たちね、なかなか子供に恵まれなくて……。不妊治療にもずいぶん長い時間、費やしたわ。それでもだめで、毎回結果を聞くたびに落ち込んで辛かったの」

そう、だったんだ。

口を挟むことなくおばさまの話に耳を傾けた。
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