ワケあって本日より、住み込みで花嫁修業することになりました。
「謙信はね、なかなか笑わない子だったの。それまでの生活環境のせいだったのかもしれないけど、どんなにみんなが楽しそうに遊んでいても、謙信はいつもひとりで本を読んでいるような、そんな子供だったわ。だから余計に目がいっちゃって、この子を幸せにしたいって思ったの。……それに初めて面会したとき、少しだけ笑った顔が可愛くて忘れられなくてね」
意外な話に目を丸くさせてしまう。
今の謙信くんからはイメージできないから。笑わない子でいつもひとりでいたなんて。
「引き取って少しずつだけれど、私たちに心を開き始めてくれたわ。……でも心を開いてくれたのは、全部すみれちゃんのおかげなの」
「え……私、ですか?」
驚き思わず自分自身を指差す。するとおばさまは頷いた。
「謙信を引き取って一年が過ぎた頃に、先生のお宅にすみれちゃんがやって来たの。……謙信は、自分と同じ境遇のすみれちゃんと仲良くしたいと思ったんでしょうね。私がお稽古に行く日は、必ず目を輝かせて「僕も連れていって!」って言うようになったのよ」
おばさまはおかしそうにそう言うと、アルバムのページを捲った。
意外な話に目を丸くさせてしまう。
今の謙信くんからはイメージできないから。笑わない子でいつもひとりでいたなんて。
「引き取って少しずつだけれど、私たちに心を開き始めてくれたわ。……でも心を開いてくれたのは、全部すみれちゃんのおかげなの」
「え……私、ですか?」
驚き思わず自分自身を指差す。するとおばさまは頷いた。
「謙信を引き取って一年が過ぎた頃に、先生のお宅にすみれちゃんがやって来たの。……謙信は、自分と同じ境遇のすみれちゃんと仲良くしたいと思ったんでしょうね。私がお稽古に行く日は、必ず目を輝かせて「僕も連れていって!」って言うようになったのよ」
おばさまはおかしそうにそう言うと、アルバムのページを捲った。