ワケあって本日より、住み込みで花嫁修業することになりました。
「すみれ、ちょっと来なさい」
「え?」
いつになく真剣な面持ちでそう言うと、居間から出て行ってしまったおじいちゃん。
「あ、待って」
私も立ち上がり後を追う。
どうしたんだろう、急に。
おじいちゃんが向かった先は空き部屋。そこは荷物の保管部屋でもあった。
「ここになにかあるの?」
普段滅多に足を踏み入れない部屋だからか、少しだけ埃っぽい。思わず窓を開けると、おじいちゃんは茶箪笥の中からある古い小さな箱を取り出した。
「すみれ、座りなさい」
「……う、ん」
ただならぬ雰囲気に息を呑み、言われるがままおじいちゃんと向かい合う形で座る。
するとおじいちゃんは茶箪笥の中から取り出した、古い小さな箱を私に渡した。
「これは……?」
見覚えのない物に首を傾げてしまうと、おじいちゃんは懐かしむように箱を見つめ言った。
「これはな……ばあさんが、すみれの母さんが結婚する際、ずっと渡そうと思っていた物なんだ」
「え……おばあちゃんがお母さんに?」
おばあちゃんは、お母さんとお父さんが結婚する前に亡くなったと聞いている。だから私は、おじいちゃんに見せてもらった写真の中のおばあちゃんしか知らない。
「え?」
いつになく真剣な面持ちでそう言うと、居間から出て行ってしまったおじいちゃん。
「あ、待って」
私も立ち上がり後を追う。
どうしたんだろう、急に。
おじいちゃんが向かった先は空き部屋。そこは荷物の保管部屋でもあった。
「ここになにかあるの?」
普段滅多に足を踏み入れない部屋だからか、少しだけ埃っぽい。思わず窓を開けると、おじいちゃんは茶箪笥の中からある古い小さな箱を取り出した。
「すみれ、座りなさい」
「……う、ん」
ただならぬ雰囲気に息を呑み、言われるがままおじいちゃんと向かい合う形で座る。
するとおじいちゃんは茶箪笥の中から取り出した、古い小さな箱を私に渡した。
「これは……?」
見覚えのない物に首を傾げてしまうと、おじいちゃんは懐かしむように箱を見つめ言った。
「これはな……ばあさんが、すみれの母さんが結婚する際、ずっと渡そうと思っていた物なんだ」
「え……おばあちゃんがお母さんに?」
おばあちゃんは、お母さんとお父さんが結婚する前に亡くなったと聞いている。だから私は、おじいちゃんに見せてもらった写真の中のおばあちゃんしか知らない。