ワケあって本日より、住み込みで花嫁修業することになりました。
事実を知るのが怖い。受け入れられるか不安。……けれど確かめたい。知らないままなんて嫌だから。

自分を奮い立たせるものの、心臓は壊れてしまうんじゃないかってほど速く脈打っている。

それでも一弥くんに手を引かれ、止まることなく歩を進めていくと鮮明に見えてきた人影。

それは一弥くん両親である叔父さんや、伯母さん。……そして私を見て驚いている謙信くんだった。

「……すみれ?」

三人がいたのは、手術室の文字が点灯されている部屋の前。

間違いない。あの扉の先におじいちゃんがいるんだ。

謙信くんを見れば、困った顔をしている。その表情に全て悟った。一弥くんの話は本当なのだと。

「一弥、お前っ……! すみれちゃんに話したのか!?」

いつも優しい叔父さんが声を荒げ、一弥くんに詰め寄ってきた。

「あぁ、話したよ! つーか話すに決まってるだろ!! どうしてすみれだけ除け者にするんだよ! 一番じいちゃんのそばについていてやりたいのは、すみれだろうが!!」
< 209 / 251 >

この作品をシェア

pagetop