ワケあって本日より、住み込みで花嫁修業することになりました。

「じゃあどうして謙信くんは私と結婚しようって思ったの!?　説明されたけど、やっぱり納得できないよ！　だって結婚って人生を左右するような大きな決断でしょ!?　なのにおばさまたちに、しつこく言われるのが嫌だからって理由だけなんてっ……！」


そうだよ、それだけで結婚を決めてしまうなんて、やっぱりおかしい。

ましてや謙信くんは人を好きになる気持ちがわからないんでしょ？　結婚に興味がなかったんでしょ？

気持ちは溢れ抑え切れない。自分でも驚くほど大きな声が出てしまう。


「おじいちゃんの病気のことを知って、私が可哀想だと思ったんでしょ!?　だから結婚しようって思ったんでしょ!?」

そうとしか思えない。だって謙信くん、昔からずっと優しかったから。

私の気持ちを汲んでくれて、いつもそばにいてくれた。そんな謙信くんが考えそうなことだ。


「私っ……どんな形でも謙信くんのそばにいられるならそれでいいと思っていた。謙信くんが私のことを好きじゃなくても、これから好きになってもらえたらいい。そのためならいくらでも頑張れるって思ってる」

感情は昂ぶり、いつの間にか涙が零れ落ちる。