ワケあって本日より、住み込みで花嫁修業することになりました。
「そう。うちの両親が最近やたらと結婚しろってうるさくて。見合い話を持ちかけられても、気乗りしなくて理由つけて断っていたんだ。そうしたら見かねた母さんがじいさんに相談したみたいで。だったらすみれと……ってなったわけ」


な、なったわけって言われても、わかったよと納得できるわけがない。

「謙信くん、お見合いに気乗りしなかったってことは、結婚に対してもそうじゃないの?」

たまらず聞いてしまうと、謙信くんは声を弾ませた。

「さすがすみれ。よく俺のことわかってるじゃん」

「だっ、だったらどうして私と……?」

そうだよ、結婚に乗り気じゃないのに、どうして私にプロポーズなんてしてくれたの?

読めない彼の真意が知りたくてジッと見つめる。すると謙信くんは私の手を握る手の力を強めた。


「それはもちろんすみれだからだよ。……すみれとだったら、結婚したいって思えたから」

ストレートな本音に胸がギュッとしめつけられる。
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