ワケあって本日より、住み込みで花嫁修業することになりました。
配属先は総務部経理課。社員の大半は女性で、女子校上がりの私には願ってもない職場。
それに大学時代に資格を取得しておいたおかげで、入社して約三ヶ月。それなりに仕事はできるようになってきた。
問題なのは昔と変わらずただひとつ。人間関係だ。
「桐ケ谷さん、請求書の作成どうもありがとう。いつも早くて助かる」
「いっ……いいえ」
いつもの時間に出勤し、午前の業務が始まって一時間。昨日仕上げた請求書の最終チェックをし、指導係のふたつ上の先輩社員、綾瀬沙穂(あやせ さほ)さんに提出したものの……。
せっかく話しかけてくれているのに、やっぱり私は彼女の目を見ることができず、返事をするだけでいっぱいいっぱい。
「えっと……じゃあ次はこれお願いね」
次の仕事を受け取り、頭を下げて自分の席に早歩きで戻る。けれど椅子に腰かけた瞬間、どっと後悔に襲われた。
綾瀬さんは気さくな人で、配属当時から指導係として仕事以外のことでも、声をかけてくれている。
きっと私が早く馴染めるようにって気遣ってくれているんだと思う。
それなのに私は、いつもいつもまともに目を見て話すこともできないダメな奴で。
それに大学時代に資格を取得しておいたおかげで、入社して約三ヶ月。それなりに仕事はできるようになってきた。
問題なのは昔と変わらずただひとつ。人間関係だ。
「桐ケ谷さん、請求書の作成どうもありがとう。いつも早くて助かる」
「いっ……いいえ」
いつもの時間に出勤し、午前の業務が始まって一時間。昨日仕上げた請求書の最終チェックをし、指導係のふたつ上の先輩社員、綾瀬沙穂(あやせ さほ)さんに提出したものの……。
せっかく話しかけてくれているのに、やっぱり私は彼女の目を見ることができず、返事をするだけでいっぱいいっぱい。
「えっと……じゃあ次はこれお願いね」
次の仕事を受け取り、頭を下げて自分の席に早歩きで戻る。けれど椅子に腰かけた瞬間、どっと後悔に襲われた。
綾瀬さんは気さくな人で、配属当時から指導係として仕事以外のことでも、声をかけてくれている。
きっと私が早く馴染めるようにって気遣ってくれているんだと思う。
それなのに私は、いつもいつもまともに目を見て話すこともできないダメな奴で。