ワケあって本日より、住み込みで花嫁修業することになりました。
「フッ。なに子供みたいなことしてんだよ」
「――え、わっ!?」
伸びてきた手が、私の唇横に触れた瞬間、実に色気のない声を上げてしまった。
どうやら口の周りにベーグルサンドのソースがついていたようだ。それを謙信くんはあろうことか、そのままペロッと舐めた。
「けっ、謙信くん!」
思わず声を荒げるものの、彼はキョトンとしている。
「なんだよ、大きな声出して」
「いや、その……っ!」
ひとりだけテンパっているのが恥ずかしくなる。でも当たり前じゃない? あんなことされたら誰だって……!
すると一部始終を目撃していた近くに座っている女性ふたりの声が、耳に届いた。
「うわぁ、いいな彼女。羨ましい」
「イケメン彼氏に、あんなことされたいよね」
小声だけど、距離的にしっかり聞こえてしまった会話内容に、ますます恥ずかしくなる。
けれど彼女たちの目に私と謙信くんは、“彼氏彼女”に映っているってことが、嬉しく思っている自分もいる。
「――え、わっ!?」
伸びてきた手が、私の唇横に触れた瞬間、実に色気のない声を上げてしまった。
どうやら口の周りにベーグルサンドのソースがついていたようだ。それを謙信くんはあろうことか、そのままペロッと舐めた。
「けっ、謙信くん!」
思わず声を荒げるものの、彼はキョトンとしている。
「なんだよ、大きな声出して」
「いや、その……っ!」
ひとりだけテンパっているのが恥ずかしくなる。でも当たり前じゃない? あんなことされたら誰だって……!
すると一部始終を目撃していた近くに座っている女性ふたりの声が、耳に届いた。
「うわぁ、いいな彼女。羨ましい」
「イケメン彼氏に、あんなことされたいよね」
小声だけど、距離的にしっかり聞こえてしまった会話内容に、ますます恥ずかしくなる。
けれど彼女たちの目に私と謙信くんは、“彼氏彼女”に映っているってことが、嬉しく思っている自分もいる。