ワケあって本日より、住み込みで花嫁修業することになりました。
「それとこちらのコップや湯呑も可愛らしいですよね。新婚のおふたりには、ぴったりかと」

「新婚っ!?」

思わぬワードにギョッとすると、店員さんは目をパチクリさせた。


「すみません、違いましたか? でしたら失礼いたしました。あまりにおふたり仲がよろしかったのでそうかと……」

謝る店員に焦る。

「いいえ、違くて……! いや、その……」

せっかくいい感じに話せていたというのに、しどろもどろになってしまう。

そんな私に店員さんも困惑している。

やっぱり私には、普通に人と話すことなんて無理なのかもしれない。

これ以上どう話せばいいのか困り、膝の上で手をギュッと握りしめた手。その手を彼の大きな手が包み込んだ。

「すみません、まだ僕の方からプロポーズしたばかりでして。彼女、言われて恥ずかしいです」

「……え?」

助け船を出してくれたのは謙信くんだった。
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