ワケあって本日より、住み込みで花嫁修業することになりました。
「ここの寿司、すっげぇ美味いだろ?」

「うん、すごく!」

いただいた寿司はどれもネタが新鮮。こんなに美味しいお寿司を食べたのは、初めてかもしれない。

「親父に教えてもらってから、もう寿司って言ったらここに決めているんだ」

得意気な顔で彼が言うと、大将は寿司を握りながら嬉しそうに笑った。

「そうだな。謙信は親父さん以上の常連になってくれた。……そんな謙信が婚約者を連れてくるとはねぇ」

感慨深そうに大将は続ける。

「正直俺は不安だったんだ。毎回食いにくるたびに違う女を連れてきていたから」

――え、いつも違う女性と来ていた?

「ゴホッ……! ちょっと大将!」

大将の話に謙信くんは喉につまらせ、慌ててお茶を飲み焦った様子。

そんな彼の姿に大将は「ガハハッ」と豪快に笑った。

「なんだよ、本当のことだろ? それに結婚を考えている相手だからこそ、お前の過去を知ってもらうべきだ」

謙信くんにそう言うと大将は私を見据えた。
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