ワケあって本日より、住み込みで花嫁修業することになりました。
「ごちそうさまでした」
「またいつでも来いよ」
「ありがとうございます」
すっかり長居してしまい、大将に見送られ店の外に出ると日は落ち、黒い空には夏の夜空が広がっていた。
ふたりで肩を並べ、駐車場へ向かっていたんだけど……。
「あれ、謙信くんどこ行くの? そっちじゃないよ?」
彼が向かう先は車を停めた駐車場とは逆方向。声を掛けるものの彼は突き進んでいく。
「こっちでいいんだ。……すみれ、最後にもう一ヵ所行かないか?」
「――え、もう一ヵ所?」
「あぁ」
時刻は二十時。食事は済ませたし、他に行くところってどこだろう?
「どこに行くの?」と聞いても謙信くんは行き先を教えてくれない。近くの地下鉄から電車に乗り、向かった先は都内でも有名なホテルの最上階。
そこには都会の夜景を一望できるバーがあり、どうやら彼は前もって予約してくれていたようで、窓側の一番夜景がよく見渡せるソファ席に案内された。
初めて訪れた大人の雰囲気漂う店内に、着いてからずっとキョロキョロしていると、謙信くんは口元を緩ませた。
「またいつでも来いよ」
「ありがとうございます」
すっかり長居してしまい、大将に見送られ店の外に出ると日は落ち、黒い空には夏の夜空が広がっていた。
ふたりで肩を並べ、駐車場へ向かっていたんだけど……。
「あれ、謙信くんどこ行くの? そっちじゃないよ?」
彼が向かう先は車を停めた駐車場とは逆方向。声を掛けるものの彼は突き進んでいく。
「こっちでいいんだ。……すみれ、最後にもう一ヵ所行かないか?」
「――え、もう一ヵ所?」
「あぁ」
時刻は二十時。食事は済ませたし、他に行くところってどこだろう?
「どこに行くの?」と聞いても謙信くんは行き先を教えてくれない。近くの地下鉄から電車に乗り、向かった先は都内でも有名なホテルの最上階。
そこには都会の夜景を一望できるバーがあり、どうやら彼は前もって予約してくれていたようで、窓側の一番夜景がよく見渡せるソファ席に案内された。
初めて訪れた大人の雰囲気漂う店内に、着いてからずっとキョロキョロしていると、謙信くんは口元を緩ませた。