ワケあって本日より、住み込みで花嫁修業することになりました。
ジッと謙信くんの答えを待っていると、彼は観念したように大きく息を吐き、ポツリポツリと語り出した。
「まさかすみれに知られているとは思わなかった。……お前の前ではそんな素振り見せていないつもりだったんだけどな。見られていたとは……」
「ハハッ」と力ない声で笑った後、謙信くんは目を伏せた。
「たくさんの子と付き合っておいてあれだけど、俺……今まで本気で人を好きになったことがないんだ。好きって感情がどんなものなのかわからない」
静かに放たれた彼の本音に、“やっぱり”そう思った。
「じゃあ今まで付き合った人のこと、誰も好きになれた人、いなかったの?」
すかさず問うと、彼は眉尻を下げた。
「幻滅されるかもしれないけど、告白されてなんとなく付き合ったんだ。付き合っていくうちに好きになれたらいいなって思う相手だったんだけど、誰のことも好きになれなかった」
彼が手にするグラスを持つ手が強まった。
「正直、どうして結婚しなくてはいけないのかわからない。自分の生活の中に結婚はどうしても必要性を感じなかった」
「まさかすみれに知られているとは思わなかった。……お前の前ではそんな素振り見せていないつもりだったんだけどな。見られていたとは……」
「ハハッ」と力ない声で笑った後、謙信くんは目を伏せた。
「たくさんの子と付き合っておいてあれだけど、俺……今まで本気で人を好きになったことがないんだ。好きって感情がどんなものなのかわからない」
静かに放たれた彼の本音に、“やっぱり”そう思った。
「じゃあ今まで付き合った人のこと、誰も好きになれた人、いなかったの?」
すかさず問うと、彼は眉尻を下げた。
「幻滅されるかもしれないけど、告白されてなんとなく付き合ったんだ。付き合っていくうちに好きになれたらいいなって思う相手だったんだけど、誰のことも好きになれなかった」
彼が手にするグラスを持つ手が強まった。
「正直、どうして結婚しなくてはいけないのかわからない。自分の生活の中に結婚はどうしても必要性を感じなかった」