ワケあって本日より、住み込みで花嫁修業することになりました。
ずっと聞きたかった謙信くんの本音。……それが聞けてうれしいはずなのに、ズキズキと胸が痛い。

なんとなくわかっていた。謙信くんの気持ち。けれど実際に本人の口から聞くとショックは大きい。好きな人の本音だからこそ余計に。

「でもこれだけは信じてほしい」

「……え？」

謙信くんを見ると視線がぶつかり合う。すると彼はいつになく真剣な面持ちで言った。


「相手がすみれだから結婚したいと思った。その気持ちはホンモノだから。昔のようにこれから先もずっと、俺がすみれのことを守っていきたいんだ」

「謙信くん……」

さっきまでズキズキと痛んでしかたなかったというのに、単純な私は彼の一言で気持ちが一変してしまう。

「ずっとお前のそばにいる。……すみれとなら、楽しい人生を歩めると思うしな」

フッと笑った瞬間、胸がギュッと締めつけられた。

「結婚するんだ。さっきみたいにこれからも俺にだけは本音を聞かせてほしい。……俺もどんなこともちゃんとすみれに伝えるから。例え、知ってほしくない過去のことも」

ドキドキする。それなのに彼から視線を逸らせない。
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