ワケあって本日より、住み込みで花嫁修業することになりました。
ショックだった。だって傍から見たら私、けっこう酷いことを言われていると思う。これから結婚するのに、好きって感情がどんなものかわからないって言われたのだから。

それはつまり、好きじゃない私と結婚するってことでしょ? でも、な。

誤魔化すことなくすべて話してもらえて、すっきりしている自分もいる。

それに私が相手だから結婚したいと思った。私のことを守っていきたい。そう言ってくれてうれしかった。

それが例え、恋心ではなく幼なじみとして、妹を守る兄のような気持ちだとしても――。

唇をキュッと噛みしめ、彼を見つめた。

「……私、けっこう面倒だよ?」

恐る恐る聞くと、謙信くんはクスッと笑った。

「知ってる。昔から嫌っていうほど」

「謙信くんやおじいちゃんと以外、まともに話せないし。……迷惑もかけちゃうと思う」

彼は首を横に振る。

「迷惑なんて思ったこと、今まで一度もない。むしろすみれには、もっと頼ってほしいって思っているよ」

次々と返される言葉に、いちいちドキッとしてしまう。
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