ワケあって本日より、住み込みで花嫁修業することになりました。
「プレゼントだよ。今日はすみれの誕生日だろ?」
「……覚えててくれたの?」
「もちろん。つーか毎年渡しているだろ?」
「そうだけど……」
毎年プレゼントされていたけれど、誕生日当日にもらえたのは子供の頃以来だったから。
「ありがとう」
受け取ると彼は微笑んだ。
「どういたしまして」
そう言うと伸びてきた大きな手が、クシャッと私の髪に触れた。それだけで心臓が飛び跳ねてしまう。
「中身は帰ってから見ろよ」
「う、うん」
トクン、トクンと高鳴る胸の鼓動。こうなると謙信くんの顔をまともに見られなくなる。
「じゃあな」
最後にもう一度私の頭に触れると、彼は来た道を戻っていった。
大きな背中を見つめたまま、受け取った紙袋を持つ手は強まってしまう。
謙信くんのお母さんは、おじいちゃんのお弟子さんのひとり。自宅で開かれている華道教室に通うお母さんといっしょに謙信くんも訪れ、私の遊び相手になってくれていた。
六歳上で私にとってお兄ちゃん的存在だった。友達とは違い、私の遊びに付き合ってくれて、可愛がってくれて大好きな存在だった。
「……覚えててくれたの?」
「もちろん。つーか毎年渡しているだろ?」
「そうだけど……」
毎年プレゼントされていたけれど、誕生日当日にもらえたのは子供の頃以来だったから。
「ありがとう」
受け取ると彼は微笑んだ。
「どういたしまして」
そう言うと伸びてきた大きな手が、クシャッと私の髪に触れた。それだけで心臓が飛び跳ねてしまう。
「中身は帰ってから見ろよ」
「う、うん」
トクン、トクンと高鳴る胸の鼓動。こうなると謙信くんの顔をまともに見られなくなる。
「じゃあな」
最後にもう一度私の頭に触れると、彼は来た道を戻っていった。
大きな背中を見つめたまま、受け取った紙袋を持つ手は強まってしまう。
謙信くんのお母さんは、おじいちゃんのお弟子さんのひとり。自宅で開かれている華道教室に通うお母さんといっしょに謙信くんも訪れ、私の遊び相手になってくれていた。
六歳上で私にとってお兄ちゃん的存在だった。友達とは違い、私の遊びに付き合ってくれて、可愛がってくれて大好きな存在だった。