ワケあって本日より、住み込みで花嫁修業することになりました。
謙信くん、さっきのどういう気持ちで言ったのかな? 妬けるって……。

気になり、お茶で流し込み食器を手に私もキッチンへと向かう。

「俺が洗うから、すみれは拭いてくれる?」

「う、うん。ありがとう」

食器を流し台に置くと、謙信くんは慣れた手つきで食器を洗っていく。そんな彼の隣に立ち布巾を手に、私はチラチラと様子を窺ってしまう。

だってあんなこと言われたら、誰だって気になるに決まっている。

もしかしたら謙信くん、恋愛的な意味で妬けるって言ったのかもしれないと。

そんなことを考えながら謙信くんが洗い終えた食器を拭いていると、彼はポツリと話し始めた。

「すみれはさ、じいさんや俺にも言えないようなことを、なんでも話せる友達がほしいって思ったことない?」

「え?」

急に聞かれた質問に食器を手にしたまま、彼を見つめてしまう。すると謙信くんは食器の泡を流しながら言った。
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