君は、近くて遠い。ーイエナイ三角関係ー


その和泉の様子を見た李人は、せせら笑った。

「………出来ないの? 優葉はただの小煩い教師なんでしょ?そしたら、今の塾を辞めて別の所に通うなんて簡単だよね? 川野スクールは分校もいくつかあるし」

「………ッ、何が言いたい訳?」



「ーーー瀬名 和泉。………お前も、優葉が好きだよね?」


………不意に、李人が言ったその台詞に。

和泉は、頭をガツンと強く殴られたような衝撃を受けたーーー。


(俺が、 あの女を………笹原 優葉を好き?)



『ーーー俺、 あの人が好きなんだ。 ………教師だって分かってても気持ちを抑えられないよ』


『ーーーあの人は、俺の全てだったんだ………。 和泉』


ーーーその瞬間、和泉の中にある昏い記憶が和泉の頭を駆け巡った。


"彼"は、"あの若い女の教師"の事を心から想っていた。 その時の"彼"は和泉が見た中で一番幸せそうだった。

しかし………"彼"はーーー


「………ッ、そんな訳ない!! そんな訳あるか!?」


気付けば、和泉は狂ったように李人に向かってそう叫んでいた。

「俺は違う!! 俺は、絶対にあの女なんて好きにならない!! 俺は………ッ、俺はッ………ああはならないッ………!」

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