君は、近くて遠い。ーイエナイ三角関係ー


「………大人しそうな顔して案外口が多いのね、あなた。 ーーー田倉さん」

「え………っ、は、はい?」

優葉と和泉の母のやりとりを冷や冷やしながら見つめていた田倉に和泉の母は言った。

「笹原先生を和泉の担当から外してもらえます? ………この塾の中では一番大人しそうで、何でもわたくしの言う事を聞いてくれそうだから、和泉の担当に指名したのだけど誤算だったわ」

「ーーーッ、え!?」

和泉の母の提案を聞き、優葉は驚きと困惑で声を上げた。

(どうしてそうなるの………!? 私は、ただ瀬名君が他に悩んでる事があるからここに来れなかったかもしれないってお母さんに言いたかっただけなのに………!)

「さ、笹原先生をですか? えっと、その………それは急には、その」

田倉も優葉と同じくいきなりの和泉の母の提案に狼狽え、言葉の歯切れが悪くなっていた。

「田倉さん?わたくしが頼んでいるのに出来ないのかしら?」

「いやっ、それはーーー」



「………ねぇ。いい加減にしてくんない? 」


するとそこでーーーやっと、和泉が口を開いた。 その瞳は、先程とはうって変わり………怒りに満ちていた。その瞳を和泉は母に真っ直ぐに向けていた。


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