君は、近くて遠い。ーイエナイ三角関係ー
「………瀬名様。 和泉君にはきちんと話を聴いて私の方からも指導をさせて頂きます。
そして、またお知らせを致しますので、大変申し訳ないですが今日の所はお引き取りをお願いいただけませんでしょうか?」
家族間で問題があるのならこれ以上、 和泉の母と和泉をいさせるのは今の状況をより一層悪くすると思った優葉は一生懸命、言葉を選び、瀬名の母に帰ってもらえるよう頼んだ。
「………ッ、 和泉。 あなた、今日は歩いて帰ってきなさい。 そして頭を冷やす事ね。 今日言った事は許さないわよ」
和泉の母は唇を噛みしめながらそう低い声で和泉に言うと、騒動を起こしたにも関わらず誰に謝るでもなく去って行った。
「………瀬名君、 大丈夫かい? お母様とあんな風になっては君も………」
「………いえ。 昔からああなので、慣れてはいます。 それよりもすみませんでした。笹原先生も」
心配している田倉と、優葉に和泉はゆっくりと頭を下げた。
生意気なはずの和泉が滅多に見せるはずのないその姿に………優葉の胸は益々締め付けられた。
(瀬名君は、何もしてないじゃない。なのに………)