君は、近くて遠い。ーイエナイ三角関係ー


「………いいよ、謝らなくて」

「………え?」

「瀬名君は………、何も悪い事はしてないよ。 だから、謝らなくていい」

気付けば、優葉は和泉にそう言っていた。 それが……….今、優葉が和泉に言えた精一杯の言葉だった。

それを聴いた和泉は、ふと驚いた顔をしーーー優葉を見て、微笑んだ。

「今日は、俺に甘くない? いつもは、ごちゃごちゃうるさいのに」

「なっ………ご、ごちゃごちゃ!?」

「ま、アンタがうるさくないのは良いね」

「何か私がいつも口うるさいみたいじゃない!」

「だって、そうだろ」

「はぁっ!?それは瀬名君がいつも生意気だからでしょ!?言わせておけばっ………」

「はいはい。全く、落ち着きがないな。いいから 授業始めるよ」

そう言って、和泉はワザとらしく優葉にため息をついた。

(わ、私が先生なんだけどっ………)

そう思いながらも優葉は、和泉が先程とはうって変わり、笑顔を見せてくれている事に内心、とても安堵していたーーー。

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