君は、近くて遠い。ーイエナイ三角関係ー
『………んな笑顔で言うなよ』
(………変に、期待を持たせる事をしないでくれ)
そう思った和泉の口からは自然と小声でそのような言葉がでていた。
『えっ? 何?』
『ッ、 ………何でもないよ。 提案がないならそこの河川敷でいいでしょ。ボサッとしないで行くよ』
優葉はそんな和泉を不思議そうに見上げ、聞き返してきたが、勿論、和泉は優葉に今思った事を言えるはずもなくまたもや無理矢理話を終わらせると、足早に河川敷へと歩き出したーーー。
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ーーー河川敷に着くと、 優葉は急に黙りとし始めた。
優葉の表情もどこか悩ましげになっている事に和泉は気付いたので、優葉に声をかけたが、優葉は"何でもない"といつものように明るく答えた。
なので、和泉はそれ以上、優葉の様子を気に留めないようにし、優葉の質問に対しどう返答しようかと思いを巡らせていた矢先、優葉のスマートフォンが着信音を鳴らしたーーーが。
『李人君っ………』
そう言って、李人の名前を今にも泣きそうなほど嬉しそうに声を震わせて呼び………スマートフォンの液晶画面を愛しげに笑顔で見つめていた優葉を見て………和泉は心臓を強く握りつぶされたような衝撃を受けたーーー。