君は、近くて遠い。ーイエナイ三角関係ー
(まさか………)
そんな優葉の様子を見た途端、 和泉の中で一気に立てられたーーーある仮説。
そして、それを思った時ーーー和泉は、電話に出ようとした優葉の右手首を強く掴かんでいた。
『………アイツと、電話する気?』
『えっ………?』
『ちょっ、 瀬名君………? 何? 離してっ………』
和泉に右手首を掴まれ、李人へ電話が出来ない事に明らかに焦りを感じている様子の優葉を見て、和泉は、焼くような嫉妬が酷く胸にこびりつくのを感じたーーー。
(駄目だ。絶対に許さないーーー)
『………離さない。 アイツと電話なんてさせないよ?』
そして、気付けば和泉は………その嫉妬の炎に焼かれたまま、李人と電話をさせまいと優葉のスマートフォンを土手の下の方へと投げ捨てていた。
『な………っ、何するのッ!? 信じらんないッ!』
怒りに満ちた表情で、和泉を非難する優葉に構うことなく和泉は、スマートフォンを取りに行こうとする優葉の腕をこれでもかというほど強く掴んだ。
『………電話なんてさせないって、言ったよね? 取りに行かせる訳ないでしょ?』
そう言い、冷淡な笑みを浮かべた和泉を見て優葉は言葉を失っていたが、和泉はそのまま話を続けた。
『………ねぇ? アンタとあの俳優の橘 李人ってイトコ同士なんでしょ?』