君は、近くて遠い。ーイエナイ三角関係ー
和泉にそう尋ねられた途端、優葉は驚愕し、言葉を濁し始めた。
しかし、和泉はどんどん話を進める。
『………従兄弟ってだけなのにヤケに仲が良いんだね? 電話がきたくらいで、あんなに嬉しそうにして』
『だ、だって………李人君とは、そんなに会えないし、だからーーー』
優葉は、まるで弁解でもするかのように和泉に必死な表情でそう主張したが、和泉は聞いていられなかった。
(もういい。 そんな言い訳なんていらない。 俺が………今すぐ確かめたいのはただ一つーーー)
『………好きなの? アイツのこと』
そして、そう思った時、和泉は優葉に尋ねていた。
和泉が、立てていた優葉が、李人を想っているという信じたくない仮説をーーー。
『そっ………それっ、はっ………』
明らかに先程よりも大分狼狽し、言葉の歯切れが更に悪くなった優葉を見て………和泉は自身がまるで暗く深い谷底へと堕ちていくような感覚を覚えたーーー。
そして、その感覚をもったまま和泉は優葉に冷ややかな笑いを浮かべ、こう言った。
『………へぇ。 イトコ同士でよくそんな風になれるね? アンタもアイツもーーー頭がおかしいんじゃないの?』
それは、李人と優葉が想いあっているという和泉にとっては、あまりにも過酷な事実に、和泉自身が、耐えられずにでた言葉だったーーー。