君は、近くて遠い。ーイエナイ三角関係ー

そのような李人の唇を受けていた優葉の心に………ゆっくりと、ゆっくりと奥深くまで伝わるのは


ーーー甘く溶けるような李人の愛情。


(こんなに………想われてたんだ。 私、いつのまにか………李人君に、こんなにもーーー………)

それを優葉が感じた時………、今まで和泉に受けたキスで深く傷を負っていた優葉の心は、喜びに震え、気付けば優葉は、自身の上に覆い被さっていた李人の背を抱きしめていた。

「………優葉………」

「………と、」

「………え?」


「………もっと、キスして………?
想いのないキスじゃない。
ーーー李人君の想いのあるキスだけを知りたいの………」

(ただ、一人だけの………大好きな李人君のキスだけをーーー)

優葉は、目を涙で潤ませながら………李人にそう心から請いた。

すると、李人は大きくその綺麗な瞳を見開いたがーーーやがて、どこか困ったように優葉に微笑んだ。

「………ったく、あんまり嬉しい事言わないで?
このまま、ずっと、ずっと、優葉にキスしたくなるよーーー」

「あ、李人く………っ、んんっ………」

そう言って、李人は再び優葉に優しく深い口づけを落とし、優葉もそれに応えていくーーー。

まるで、優葉と李人は唇からお互いの想いを繋ぎ合わせるように………その後も、夏空の月が照らす中、何度も何度もキスを交わしたーーー。
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