君は、近くて遠い。ーイエナイ三角関係ー
『………瀬名、君の事は………』
そこまで、言って優葉は言葉を止めた。
ーーーどうすればいいか、分からない。
和泉に対してこれから先、 "教師"としてどう振る舞えばいいか………今の優葉にはまるで検討が付かなかった。
(瀬名君は、大事な生徒だったのに………。今もその思いはあるのに。どうしてこんな事に………)
そう思い、黙りとした優葉を見て、李人は小さく息を吐いた。
『………何も考えが浮かばない、か。無理もないよ。 何も分からずあんな事をされたら』
『っ………』
『………また本音を言うと、俺は優葉と瀬名が元の"教師"と"生徒"の関係に戻るのは難しいと思ってるし、 優葉を二度と瀬名には会わせたくない。二度とね』
『っ、李人く………』
『………でも、優葉はまだ決めかねてる。 アイツの元を去るかーーーはたまた、それが、茨の道だったとしても、
"教師"としてアイツと接せられるよう全力を尽くすか。 けど、その方法も分からず苦しんでる。………違う?』
李人が、そう推し量るように優葉に尋ねたが、あまりにもそのまま優葉の気持ちを代弁していたので、優葉は大きくかぶりを振った。