君は、近くて遠い。ーイエナイ三角関係ー

まさか、優葉が無断欠勤をし、急に一か月休むなどと言い出すことなど予想だにしていなかった田倉は、悲痛な表情をしながら優葉に強い口調でそう言った。

優葉は、東京行きを決めた後ーーーすぐ様、教育業界の中でインターンシップを募集している企業を探し出し、応募をした。

ただ、東京に行き、ボンヤリと時を過ごすだけでは、和泉の事にまた悩み疲れるであろうと思った優葉は、何か一つでもそこで没頭でき、進路に役立つものがあればと思い、思いついたものがインターンシップであった。

実際は、優葉の希望である一か月とはいかなかったもののーーー、二週間、 東京、大阪などの都市部で複数の専門学校を運営している企業グループのインターンシップに参加する事になった。

しかし田倉には一か月インターンシップに行くということにしなければ一か月もの急な東京行きを不審に思われてしまう為、優葉は心苦しく思ったものの………そう嘘をつくしかなかった。

「………本当に、本当に、申し訳ありません………」

(本当の事なんて………言えるはずがない。 だから、今はどんなに無責任な人間だって思われても………、塾長に嘘をつくのが、辛くても………耐えて、頭を下げるしかないんだ………)

そのような心苦しい思いを抱えながら、優葉は何度も田倉に頭を下げた。


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