君は、近くて遠い。ーイエナイ三角関係ー
ーーー教師になる。
小さな頃から抱いたその夢は今も優葉の中で揺るぎない。
しかし………、その為には和泉との事を何があっても解決しなければならない。
でなければ、この先、例え教師になったとしても………生徒とぶつかりあった時、優葉は足をすくめてしまうだろう。
和泉との出来事は………優葉の心に深い傷を残したものの、ある意味チャンスとも取れる。
それでも、 本当に和泉との事を乗り越え、李人のように立派に自身の夢を叶えられるだろうか?
それを思えば、優葉の胸には再び不安が募っていった。
(塾長は、自信を持って大丈夫だって言ってくれたけど………)
「………どうしたの、優葉」
「………っ、えっ」
「………泣きそうな顔してる」
気付けば、優葉は李人の部屋にいた。あまりにも、和泉との事を考え過ぎてしまい自身がどこにいるかという意識さえまるで無かった優葉は、李人が心配そうに見つめている事も気付かなかった。
「急に黙り込んだから………驚いたよ。 また、何か思いつめたの? 優葉」
「………っ」
「話して。 優葉の心を少しでも軽くしたい。 その為に………俺は、お前をここに連れてきたんだよ」
そう言って、李人は優しく優葉の両手のひらをその両手で包んだ。