君は、近くて遠い。ーイエナイ三角関係ー
「………あのね、 優葉」
李人は、優葉の背中をさすりながら、優葉に語りかけるように言った。
「俺がもし、すごーく立派な人間に見えてるのなら………それは優葉のお陰だよ」
「えっ………? ?」
思いもよらなかった李人の発言に、優葉は目を丸くして李人を見た。 そんな優葉を見て、李人はクスリと微笑んだ。
「………前にも言ったと思うけど。俳優になるって決めた時、俺は小学生の頃、優葉が水泳の授業でどんなにからかわれても泳げるまで諦めなかったその姿勢を思い出してた。
普段は、こんなに華奢で柔らかな表情をする優葉が、いざ目標を決めるとそれに向けて、とんでもない意志の強さを持って正面から向き合っていく。
それは………俺にはない強さで、だから、そんな優葉を見習ってた」
「うそ………」
(李人君が私を見習う、なんて事があるなんて………)
いつも、誰にでも優しくて、優葉の気持ちも、理解し俳優という難しい夢も、叶えた李人。
そんな李人は優葉にとって、小さな頃から完璧な存在であり、正直な話、欠点など見つからなかった。
なので、優葉は李人が優葉の姿を思い出し夢に向け頑張っていた、ということは知っていたものの、まさか、見習われてるとは微塵も思ってなかったのだ。