君は、近くて遠い。ーイエナイ三角関係ー
「優葉が尊敬できるような、そんな人間になれば………優葉も俺を見てくれるって思って頑張ったんだ。
そしたら、俳優になるっていうのもおまけで付いてきた」
そう言い、李人は可笑しそうにクスリと笑うと………そっと優葉の頬を両手で包み、 そこに軽くキスを落とした。
「………ッ!?りっ………!?」
突然のキスに李人の名前を呼ぶこともままならず顔を真っ赤に染める優葉を見て、 李人はまた満足げに微笑む。
そして、再び李人は優しく優葉を抱きしめた。
「………優葉を見習って俺は心から欲しいものが二つも手に入った。
だから………大丈夫だよ、優葉。何も心配いらない。 そのままのお前で、瀬名と向き合えばいい」
「ッ、李人君っ………」
「ーーー大丈夫」
そう言って、また力強く抱き寄せる李人の体温がーーー言葉があまりにも優葉にとっては温かく。
気付けば優葉は………李人の胸の中で、涙を流していた。
ーーー今まで、和泉との事で辛くて、重かった心。
田倉に"自信を持て"と言われても、どこか不安定で悲痛に満ちていた優葉の心は………ずっと、惹かれていた李人の知られざる姿と温かな言葉により一気に息を吹き返した。