君は、近くて遠い。ーイエナイ三角関係ー
ーーー忘れたい。
ーーー優葉を、忘れたい。
李人を見ている………優葉の事など考えたくない。
李人と優葉が想い合っている様子など、 見たくもない………。
だからこれ程まで、和泉は一生懸命に優葉に会わないようにしようとしている。
初めて感じた、 この恋情をーーー捨てるために。
しかし………
「………んでだよ? 何で、 俺はっ………こんなにも、日に日にアイツに会いたくなるんだっ………?」
和泉は悲痛な声で胸の内を誰もいない夜道の中、さらけ出す。
ーーー優葉に会いたい
そのあまりにも矛盾した願いも、和泉の中で日に日に募っていく。
結局、まだ優葉をこんなにも求めているのだと、惹かれているのだと嫌でも気付かされる。
「どうしたら良いんだよ………っ」
どんなに考えても、考えても、今の和泉に答えは出せず、ただ身の切るような苦しさだけが………和泉の心に深く突き刺さっていくーーー。
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ーーー数日後
「………こんなに悩んでいても、ここに来るんだよな。俺は」
少しだけ、空に灰色の重い雲がかかり、湿気がいつもよりも多い日曜日の午前。
和泉は、 供えの花束と掃除道具、 線香を手にーーー"いつもの場所"を訪れていた。