君は、近くて遠い。ーイエナイ三角関係ー
和泉が、はぁとため息をつきながらそう言うと有華はクスリと微笑んだ。
「いいじゃない。 ジョニーズ並みの容姿に、 家族思い。 中々、和泉みたいな子、現実にいるもんじゃないし?」
「………それは」
「………おっと。 違うなんて言わせないわよ? ここにいるのが、その証拠じゃない」
そう言い、有華は和泉の頭をふんわりと撫でる。 有華の手の平の温かさが伝われば、和泉は彼女が言ってることが本当だと分かる。
そして、それは和泉の胸を締め付けた。
(………違う。 俺は、そんなんじゃない………)
「………勘違いも甚だしいよ。 有華さん」
そう思えば最後、和泉はワザと乱暴に有華の手を跳ね除けた。
その直後、有華は小さく息を吐き、 控えめに微笑んだ。
「………全く、 相変わらず強情ね? 私のイケメン従兄弟クンは」
「………」
「………ま、いいわ。 さぁ、和泉! そんなにシケた顔で、ここにいない!
そんな顔をこの墓前で見せるくらいなら、この有華お姉さんに付き合いなさい! 4年ぶりに会ったんだから!」
「はっ?」
「さ! グズグズしないで、行くわよっ」
「いや、ちょっと待てって………おい!?」
有華は、 和泉の言う事をそれ以上聞くことなく、和泉の手を引っ張ると強引に自身の車へと乗せたーーー。