君は、近くて遠い。ーイエナイ三角関係ー

その声を聞き、 和泉の心はざわざわと騒めき出す。

(俺"だけ"が言っていたのか？ ずっと、ずっとまるで自身に呪いをかけるように………？ )

「………嘘だろ」

今まで苦しんできたものの正体を理解し始め………思わず、 そう口にした和泉を見、 有華は話を続けた。

「………和泉。 もう一度、考えてみて。 今、和泉が貫こうとしている姿は………行こうとしている将来の道はこれからの先、自分にとって何のためになるかを」

「………っ」

「もしその先に………何もないなら、やめなさい。 和泉………あなたまで、 堕ちるなんてそんなのは許さない。
だから………考えて。 私も、これ以上、大切な家族は失いたくないのよ………」

そう少しだけ震えた声で言うと有華は和泉を、どこかすがりつくような目で見た。

それを見た和泉は、"あれ"があって和泉が変わってしまってからも……… 有華がずっと変わらず和泉と"彼"を家族として労ってくれていたと気付き、 胸が熱くなった。

「………分かった。 もう一度、考えるよ………有華さん」

「和泉………」

「………その為に俺はまず、何をすればいい？………それだけ教えてくれ」