君は、近くて遠い。ーイエナイ三角関係ー

和泉がそう問いてくれたので、有華はここで初めて和泉に提案することにした。

有華が、和泉の話を聞き終え和泉が今、第一にすべきだと考えた事。

それはーーー

「………笹原さんとちゃんと向き合いなさい。和泉」

優葉ともう一度、和泉が向き合う事であったーーー。

「向き合う………?」

「そう。 ーーー和泉。 あなたが、 "あれ"があってから生まれて初めて好きになった女性。 ………それが、笹原さんね?」

「………ああ」

「あんなに心を閉ざしていた和泉が、何度、気持ちに抗っても好きになった女性。 とても貴重よ。まずは、彼女との事を一生懸命に考えるのが何より大切だと思う」

そう真摯な眼差しと共に、有華は和泉に提案したが………和泉は、ゆっくりと首を横に振った。

「………有華さん。悪いけど、アイツにはどうしてもーーー」

「和泉。 あなたは一度でも、笹原さんに自分の気持ちを伝えたの? 好きだって」

有華にそう問われ、和泉の胸は再びどよめきーーー嫌な音を立てた。

「………いや」

「………そうよね。 和泉は何で笹原さんを忘れられないか分からないと言ったけど。答えはでてる。
自分の気持ちもきちんと伝える事もままならないまま………和泉は笹原さんを一方的に傷付けた。
そして、 別れてしまった。それを………和泉はとても辛く思ってるんだと思うの。 違う?」

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