君は、近くて遠い。ーイエナイ三角関係ー

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ーーー数日後

『ーーー笹原さん! 瀬名君が、いなくなったみたいなんだ!』

インターンシップも後数日というところで、夜、優葉は課題の作成に取り組んでいたが、思いもよらぬ知らせが田倉から電話で舞い込み、優葉は耳を疑った。

「いなくなったって……… 一体、どういう事ですかっ?」

『それが………ここ二週間くらい、瀬名君本人から家の用事で休みますと連絡があったんだけど。
関本さんだっけ、お世話係の方から瀬名君がテキストを忘れていたので届けてもいいですか、と言われてね。
それで………ずっと本人がウソをついてどこかに行っていた事が分かったんだよ』

「………っ、そんな………」

まさか、和泉がそこまで川野スクールに来校していなかったとは思っていなかった優葉は言葉を失った。

その時、優葉の頭の中に過ぎったのは………河川敷での和泉との口づけだった。

(やっぱり………、あの日の事が………原因なの? 私に会いたくなかったから………?)

それを思った時、優葉の胸は痛み、思わず唇を強く噛み締めた。

『それで………僕の目から見て、瀬名君はやっぱり一番、笹原さんに懐いてる気がしたから。
笹原さんなら、何か瀬名君の行方に関して知ってるかと思って連絡をさせてもらったんだけど………何か心当たりはない?』

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