君は、近くて遠い。ーイエナイ三角関係ー

『………分かったよ。 笹原さん、君に任せよう。 でも、瀬名君を見つけたら必ず、彼の両親と僕に連絡を入れて欲しい』

「………ありがとうございます、塾長。 それでは、失礼します」

優葉はそう言い、静かに電話を切った。

ーーー帰らないといけない。

今すぐにでも………R町に。

和泉に会って………話さないといけないことが、教えたいことが今の優葉には沢山あった。

「っ、荷物積まなきゃ………!」

そう思い、 優葉は衝動的に自身のバッグを取り出した。 ーーーその時。

「………ッ!」

「………どこ行くの? 優葉」

今まで、浴室でシャワーを浴びていた李人が、いつのまにか優葉を後ろから抱き寄せておりーーー優葉は、驚いた。

シャワーを浴びたばかりの李人の身体は温かかった。

また李人が愛用しているボタニカルシャンプーのグレープフルーツとカモミールの爽やかな香りが優葉の鼻孔をくすぐり………いつも以上に優葉は胸を高鳴らせる。

「………インターンはまだ、数日あるでしょ? 何をしてるの?」

「っ、李人く………」

「イケナイ子だね。 ………優葉」

そう言い、 李人は優葉を自身の方へ向かせると………優葉にまるで噛みつくようなキスをしたーーー。
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