君は、近くて遠い。ーイエナイ三角関係ー

「ありがとう………李人君」

(………無駄にしない。私の背中を押してくれた李人君の深い想いも………瀬名君の気持ちも。 絶対に………)

そう思った優葉の心は、 絶対に和泉を見つけ出し、向き合うという強い決意で固められていたーーー。


ーーーーーーーーーー

東京からR町に戻った優葉はすぐに、大手検索エンジンでR町付近の"和泉がいるかもしれない場所"を検索し始めた。

「埼玉県の墓地、霊園………。 ーーー515件。 R町だと………3件」

そして、優葉が思ったその場所とはーーー墓地。

間違いなく和泉が頻繁に行っていた場所。 きっと、 和泉にとって大切な誰かがーーーそして、和泉を最も縛り付けている誰かが眠っている場所。

和泉が頻繁に顔を出す可能性がある所は………恐らく墓地しかないと優葉は確信を持っていた。

「………良かった。 これだけ絞れたら十分」

そう言い、優葉はホッと息をつく。
一刻も早く和泉に会いたかった優葉にとってそれは朗報だった。

「………早く、 行かなきゃ」

(瀬名君の元へ………早く)

その思いに急かされ、優葉は地図アプリで最初の墓地の位置を確認するとすぐ様自室を飛び出したーーー。

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