君は、近くて遠い。ーイエナイ三角関係ー
【心が導かれたものは、 君への想い】
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「ここが最後………」
優葉は、暑さで滲んだ汗を手で拭いながらそう呟いた。
R町付近の墓地を2件まわり、後残されたのは今、優葉の目の前にある霊園のみだった。
そこは四季折々の美しい樹や花に囲まれたどこかゆとりを感じさせる公園墓地であった。
区画も、一つ一つの一般墓の間で広く別れており、 訪れる人にとってお墓詣りがしやすいつくりになっている。
(きっといる………。 瀬名君は、きっとここにいる)
優葉はそう自身に言い聞かせながら、霊園へと歩みを進めて行った。
広々とした霊園は、もう夕方に近いせいもあり滅多に人とすれ違うことはない。
しかし、優葉は慎重に一つ一つの墓を和泉を探し、見て回った。
そしてーーーとある墓の前で優葉は、 見覚えのある姿を見つけ、息を呑んだ。
ピンと背筋を真っ直ぐに伸ばし、美しい色とりどりの花々がいけられている墓に向かって………何かを心を込めて祈るように、目をつぶり手を合わせているその姿。
「………ッ?」
ーーーその和泉の姿は、 本当に清らかで美しく見え………優葉は、 我を忘れ和泉を凝視していた。