君は、近くて遠い。ーイエナイ三角関係ー
やがてーーー和泉が、優葉の方を向いた。
「………っ!」
すると、優葉の姿を認めた和泉はこれでもかと言うくらい目を見開くとーーー優葉の方へと何かに急かされるように近付いてくる。
そしてーーー
「優葉ッ………!」
「………!!」
和泉はこれでもかという程、強く強く優葉を抱きしめたーーー。
「優葉っ………、 優葉ッ………」
「っ、 瀬名く………」
「会いたかった………。 ずっと、ずっと、会いたかった………」
まるで、優葉をずっと切望していたかのような切羽詰まった和泉の声。
また、一段と深く抱きしめてきた和泉の身体があまりにも熱かった。
その為、優葉はまるで魔法にでもかかったかのようにその腕から離れる事が出来なかった。
ーーーなぜ、いつも一人でこの場所に行くのか。
ーーーなぜ、 優葉をこんなにも熱い腕で抱きしめるのか。
ーーーなぜ、 "先生"でなく優葉の名前を呼んだのか………。
優葉の頭の中には様々な疑問が湧いては降ってき続けた。
しかし、なぜだか今、 和泉のこの腕を離してはならないのだとも….……強く優葉は感じた。
「………大丈夫だよ、瀬名君。 私はここにいるから………」
気付けば、優葉は和泉を包み込むように、その背中に腕を回していたーーー。