君は、近くて遠い。ーイエナイ三角関係ー
櫂は清潔に髪を短く整えており、端正な顔立ちに大きな丸い瞳の美少年であった。
そして、穏やかな笑顔は和泉とはまた違った柔らか雰囲気を放っていた。
そして、櫂はその雰囲気のままの男性であった。
『どうした? 和泉。 暗い顔して』
『櫂兄ちゃん………。 僕、 明日の遠足行きたくない』
『どうして?』
『僕………友達の車のおもちゃ壊しちゃったんだ。 もう、 絶対に許してくれない………』
ーーー小学校低学年の頃に和泉は友人とトラブルを抱え、どうしたらいいか分からず泣きじゃくっていた。
『………大丈夫。 和泉が、心から反省してる気持ちは相手に絶対伝わるから。 今日も、お母さん達は夜遅いから俺が、一緒に謝りに行くよ。俺は和泉の味方だからね』
そんな和泉の頭を、 櫂は優しく撫でて、励ましてくれた。
そして、翌日、櫂は和泉と一緒になってその友人に頭を下げてくれ、 和泉はその友人と和解をすることができた。
ーーーそして、更に小学校高学年の頃。
『………俺、 もう勉強なんてしたくない』
『何で? 今まで、こんなに頑張ってたのに』
『だって………どんなに頑張って、全部の教科で90点以上取っても、 お母さんは"まだまだね"って言うんだ。 なのに、勉強したって何の意味もないよ………』