君は、近くて遠い。ーイエナイ三角関係ー
『俺は、そんな人達が父さんに自分達の苦しみや理解してほしい事を何度も伝えてるのを見てきた。
………父さんは、あまり相手にしてなかったけど、父さんが何にもしないなら俺がどうにかしたいって思った。
誰にでも、 幸せになる権利はある』
『政治家は、それができるの?』
『できる。 政治家は、そんな人達が幸せになれる決まりを作ったり、 アイデアを出して叶えられる力があるからね。だから、俺は政治家になりたい』
『政治家って、そんなに凄い仕事だったんだ………』
櫂の話を聞いて、 今までの自身が持っていた政治家の概念が覆された和泉は、感嘆の声を上げた。
『うん、ちょっと見方を変えれば、政治家も悪い仕事ではないし、自分のやりたい事だから辛い事があってもやり切れると俺は思う。………だからね、和泉』
『ん?』
『和泉も………、別に政治家に縛られる必要はない。 和泉が本当にやりたい事、辛い事があっても頑張れそうな事。 それを軸に自分がなりたいものを考えればいい。
そして、完璧じゃなくてもその為に必要な分だけ勉強が出来ればいいんじゃないかな? そしたら、少し楽にならない?』
『………うん。 なった』
『良かった。 ーーーだから、和泉。 お前が今から見つける事は、本当に自分がやりたい事を見つける事。 分かった?』