君は、近くて遠い。ーイエナイ三角関係ー
『何で、でないんだよ………』
結局、 櫂は電話に出る事は無かった。 途方に暮れた和泉は、 そのまま何時間と意味もなく町をぶらぶらと彷徨った。
ーーーこのまま、穂奈美の言う通り政治家にならないといけないのか。
ーーー自分の人生の全てを………一生、 瀬名家に縛られ続けないとならないのか………。
そう考えただけで………和泉は、頭から血の気が引いていくようだった。
『………ッ、 嫌だ。 そんなの絶対に………』
そう思えば和泉はもう一度、邸宅へと急いだ。 もしかすれば、櫂が戻ってきているかもしれないと考えたからだ。
そして、邸宅へと辿り着けば、櫂の部屋に明かりがついているのが分かった。
なので、和泉は直ぐ様、櫂の部屋へと向かった。
櫂の部屋は、ほんの数センチ程、 ドアが開いていた。
『………櫂君、 いいの? 本当に』
そしてーーー、そこから漏れていた声に驚いた和泉は直ぐ様、ドアの影に身を隠した。
しかし、和泉はその声の主が誰であるか直ぐに分かった。
ーーー志帆だ。
(今まで、俺の電話に気付かないまま、多原先生と一緒にいたのか………? )
そう思えば、和泉の心の中はどこか納得がいかず、もやもやとした。