君は、近くて遠い。ーイエナイ三角関係ー


いつもとは明らかに違う櫂が和泉を呼ぶ力無き声に

『櫂兄さん………?』

一気に心配になった和泉は、思わず櫂の名前を呼んでいた。

電話越しの櫂は、暫く黙っていたがやがて口を開いた。

『………ごめんな、 和泉。 俺が、不甲斐なかったせいで………お前を不自由にさせ、 傷付けて………。 本当、情けなくて………ごめんな』


『ッ、 櫂兄さん………! それは………! 』

『でもーーー………』

その先、 櫂はまた口を閉ざし始めたが………僅かに嗚咽のような声が聞こえ、 櫂が泣いているのだと和泉には直ぐに分かった。

『っ、 櫂兄さんッ………?大丈夫か? 俺、今からそっちに行くから………』

『………志帆さんは』

『………え?』

『志帆さんは………。あの人は、 俺の全てだったんだ………和泉。
なのに、なぜ………志帆さんは俺の前からいなくなったんだっ………? なぜッ………!』

『いなくなったっ………?』

突然の櫂の告白に、和泉は耳を疑った。

それはつまりーーー、 志帆が櫂をフッたという事だ。

『っ、 どうしてそんな………』

和泉が見た限り、志帆も櫂と同じくらい櫂を想っていたように見えた。

なのに、なぜ急にそんな事が起きたのか、和泉には全く見当がつかなかった。





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